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更新日 2017-04-21 | 作成日 2016-09-28

書評

新聞・雑誌の書評記事から

翻訳した本の書評を紹介します。

ラッセル・シモンズの成功哲学 ヒップホップ精神で成功を引き寄せる12の法則
ラッセル・シモンズ +クリス・モロー 著/菊池淳子 訳/四六版/320ページ/1700円+税/ISBN 978-4-8459-0935-3

長谷川理恵『朝リーディング 心をととのえるための、本の読み方・使い方』( ダイヤモンド社刊)

たった一人で成功できる人間などいない。
けれど、信頼できる仲間を集めれば、必ず勝てるのだ。
つまみ読みポイント(長谷川理恵)
 「ヒップホップのCEO」が書いた12の成功法則。その精神は、共感できるところがいっぱい!ヒップホップの人は、気持ちが熱い。生きるパワーにあふれている。家族を大切にし、大切な人のことはとことん、思い切り、愛す。私の母は一見熱くない"日本の母"だけれど、心の根っこに秘めた熱さはヒップホップの人に似ていて、私もたぶん、そんなところがあるのだと思う。「いいことが書いてあるな」としみじみ思った一冊。


SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
ブレイク・スナイダー 著/菊池淳子 訳/A5判/264頁/2200円+税/ISBN978-4-8459-1056-4

キネマ旬報 2011/12月号



ヒップホップはアメリカを変えたか? もうひとつのカルチュラル・スタディーズ

S・クレイグ・ワトキンス著/菊池淳子訳/四六判/272p/2200円+税/2008年/フィルムアート社

高知新聞 2009/02/07夕刊
<別冊 SONIC 高知音楽通> 『BOOKレビュー』 ヒップホップとは?


 1970年代、アメリカのゲットーで生まれた音楽はアフリカ・バンバータ、グランドマスター・フラッシュらによって広まり始め、80年代にメジャーになり、90年代後半にブレイク―という流れの中で、ヒップホップは大切なものを失う。そんな歴史を書いている。
 一方で、ヒップホップがさまざまなものをのみ込んで多様化していく姿も描く(ホワイトアメリカンのエミネムの登場はその好例だ)。またバンバータ、フラッシュ、エミネム、そしてジェイ・Zら“本物”たちが、貧困や存在否定で虚無的になりがちな人間に必要なものを、ヒップホップで示してきたことも。
 失ったもの。得たもの。それらを含めて「ヒップホップとは何か?」を本書は考察している。
 読後、いや応なしに考えさせられる…彼らにでき、日本の僕らにできていないことは? Jヒップホップが未来に向けてすべきことは何か?と。(編集部、OK電算機)

共同通信 2009/02/12
黒人大統領生み出した力

 一月二十日、アメリカ合衆国大統領オバマの就任式が首都ワシントンで行われた。今、新たな動きの中で、あらためてブラックカルチャーにもスポットが当てられている。中でも驚異的なエネルギーを持ち、政治的影響力を無視できないとされているのが、アメリカの地下室やストリートの片隅で始まった音楽、ヒップホップだ。ヒップホップの起源は、歴史学者や文化評論家によれば、一九七〇年代にさかのぼる。人種差別や貧困が問題化した、社会情勢が不安定な時期に生き生きと芽を吹いた。九八年には、ヒップホップCDが売れ行きランキングの上位にひしめくまでになる。最近では、米ハーバード大学にはヒップホップ文書館が設立されたという。
 本書ではアンダーグラウンドからメジャーへの道、ファッションだけでなく政治にまで影響を与えるほど大きな存在となっていく過程、そして商業化が進む中でのあつれきが詳細に描かれている。
 ヒップホップは暴力的なイメージをもたらすことが多いが、そうではないと著者は異を唱える。世界中の若者に平和をもたらす大きな可能性を持ち、ヒップホップのエネルギーがなければ希望もチャンスも消えてしまうかもしれない若者が現に増え始めているのだという。
 紹介されているヒップホップの代表的なアルバムの中から、数曲を聴いてみた。どれも底辺からはい上がるようなパワーにあふれている。社会的に排除された弱者の生きる力となり、人と人をつなげる媒体として必要となっていくのだろうと感じた。
 ヒップホップの軌跡は、ある一つの音楽ジャンルという枠を超え、黒人大統領を生み出す力にもなった。今もなお変化し続ける、驚異的なパワーを持つ文化として興味深く、本書は、不況などで衰弱した現代社会を生きる私たちに大きなヒントを与えてくれる。 (祝田民子・音楽プロデューサー)

佐賀新聞 2009/02/15 注目の一冊

同上

熊本日日新聞 2009/02/15 朝刊, 8ページ

同上

沖縄タイムス 2009/02/14 朝刊, 14ページ

同上

下野新聞 2009/02/12, 16ページ

同上

中国新聞 2009/02/22, 朝刊 10ページ

同上

日本経済新聞 2009/03/08, 朝刊 19ページ
ヒップホップに脚光、社会学者が研究成果(活字の海で)

 ニューヨークのアフリカ系米国人コミュニティーから誕生したヒップホップ文化
は、ラップ音楽を中心に大衆文化に大きな影響を与えてきた。今年は、ラップ初の
ヒット作、シュガーヒル・ギャング「ラッパーズ・ディライト」発表から三十年。
歴史を重ねたヒップホップの果たした役割を、学問的に検証する著作の刊行が相次
いでいる。

 トリーシャ・ローズ著『ブラック・ノイズ』(新田啓子訳、みすず書房)は草分
けといえる一冊。原著は一九九四年刊行。訳者の新田氏によれば、本書の出版を契
機に研究が広がり、米国では現在年間数十本の博士論文が書かれるようになったと
いう。

 黒人都市貧困層のうっ屈した感情を表現戦略に高めた成り立ち、デジタル機器な
どのテクノロジーと口承伝統を接合した音楽の構造、さらにはジェンダーまで、ヒ
ップホップ研究のひな型になったとも評されるだけに、広く、深い分析は読み応え
がある。

 九二年には、白人警官による黒人男性への暴行事件などを契機としたロス暴動が
発生。「蜂起」をうたうラップを一因とみる批判がわき上がった。社会学者である
S・クレイグ・ワトキンスの『ヒップホップはアメリカを変えたか?』(菊池淳子
訳、フィルムアート社)は、その時期以降、ヒップホップが巨大産業になると同時
に政治的な力を獲得する過程に力点を置く。

 刑務所での虐待問題への抗議運動や、若者に選挙への参加を呼びかけるキャンペ
ーン、また、二〇〇一年のデトロイト市長選におけるヒップホップ世代と公民権運
動世代の対立などの分析を通じ、可能性と問題点を指摘する。

 日本での受容に焦点を当てたのが木本玲一著『グローバリゼーションと音楽文化
』(勁草書房)。社会学者の著者は、ラップに注目する理由として地域性を挙げる
。米国の貧困地域と密接に結びつくラップが、全く異なる環境でいかに根付き、自
律性を獲得してきたかを描く。文化のグローバル化とローカル化という今日的なテ
ーマを掘り下げる上でも格好の素材といえる。

 オバマ米大統領を「ヒップホップ大統領」と評する論者もいる。また、世界同時
不況の中で、厳しい環境に置かれる弱者の表現手段として、ヒップホップは重要性
を増していくだろう。リアルタイムの変化をどう記述するかも、今後は学問のテー
マになりそうだ。(文化部 堤篤史)

2009/05/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ
アメリカ文化の力、再点検??共立女子大学教授生井英考氏(今を読み解く)

 「黒人神話」の破壊も

 一時は「猛威をふるう」という形容がぴったりの勢いに見えたいわゆる「アメリ
カ帝国」論を、近ごろとんと目にしない。

 リーマンショックとオバマ政権の登場で流れが変わったといえばそれまでだが、
それで吹き飛ぶほど軽量級の「帝国」だったのかといささか鼻白む感もなくはない
。とはいえ影をひそめたのは大仕掛けの文明論のたぐいで、最近はより具体的な分
析で長短半ばするアメリカ文化の両義的な「力」を再点検する試みが目につくよう
だ。

 その筆頭がフレデリック・マルテル『超大国アメリカの文化力』(根本長兵衛・
林はる芽監訳、岩波書店・二〇〇九年)。

●中央集権を拒否

 著者は在米フランス大使館の元文化担当官。とかくフランス流の「伝統」を絶対
視しがちな立場だが、社会学者でもある著者は、政府部内に省庁レベルの文化・芸
術機関のないアメリカで自発的なフィランソロピーがきわめて活発なことに注目。
国家に依存しない米国社会の文化創造力を注意深く観察し、政府が文化に無理解と
いうより、社会の側が文化における官僚の専横と中央集権化を拒み、「国民全員が
文化に自由に接する」ための民間主導の仕組みをこつこつ築き上げてきたと見る。

 工藤安代『パブリックアート政策』(勁草書房・〇八年)はそんな背景を持つ米
国の文化助成の形成過程を歴史的に跡づけながら、特にドルショック以降の文化政
策と「芸術の公共性」の関係を解き明かす。

 一九八〇年代にリチャード・セラの前衛彫刻が市民の反対で撤去された事件は日
本でもよく知られるが、本書は公共圏や多文化主義論争とからめて、この事件の長
期的影響と政策決定の相関性に目を配る。大不況時代の「国家主導型」に始まった
米国の文化政策が、七〇?八〇年代に「地方分権型」を経由し、多文化的な現代の
「市民社会型」に至った、という見取り図は特に貴重だろう。

 一方、文化は当然のことながら政策レベルだけでは語れない。特に大衆文化の場
合、しばしば偏見や差別が社会的な力能を発揮し、人々の思考や価値観を左右する
。そこではステレオタイプ化された大衆的イメージが神話的な効力を帯び、社会を
振り回しさえするのである。

 ジョン・ホバマン『アメリカのスポーツと人種』(川島浩平訳、明石書店・〇七
年)はこうした「神話」の逆説を鋭く指摘する。

 黒人は身体能力で白人を圧倒するというイメージは日本でも強固だが、人種や民
族の独自性にこだわる多文化主義の下では、黒人社会全体が研究者を含めてこの見
方に固執しがちになる。そのため、たとえば白人選手を意味なく小馬鹿にする一方
、頭脳派の黒人選手は自分を過小評価する傾向を暗に強いられるというのだ。

 厄介なのはこうした「神話破壊」の主が白人研究者であること。そこで起こった
物議や批判は委細を尽くした訳者解説にくわしいが、アメリカの黒人文化に対する
一見肯定的な讃美が「憧れという名の差別」になる逆説を突いた点で、本書は日本
の若者たちにも示唆的だろう。

●ラッパーの目覚め

 他方、S・クレイグ・ワトキンス『ヒップホップはアメリカを変えたか?』(菊
池淳子訳、フィルムアート社・〇八年)は、スポーツ以上に紋切り型の人種イメー
ジ(特に犯罪との関わり)を商業的に利用してきたヒップホップが、前回(〇四年
)の大統領選あたりから政治的な影響力を自覚し始めたことを肯定的に紹介してい
る。この選挙では若年層の投票率が三十年ぶりに半数を超えたが、そこにも政治的
に目覚めつつあるラッパーたちの呼びかけの影響があるというのである。

 ちなみにオバマ氏は昨年の選挙戦の最中、「ヒップホップは好きか」と問われて
「もちろん」と即答。大物ラッパー、ジェイZの名を挙げるなど、マケイン候補に
は真似(まね)できないスマートさを見せつけた。新政権下で何かと話題の「スマ
ートパワー」だが、いまや米国のスマートパワー最大の源泉は、ほかならぬオバマ
氏その人なのである。

 そして思えばスマートパワーこそは、本来、軍事力と文化力を両義的に組み合わ
せた二十一世紀型の覇権の技法なのだ。


素顔を見せたニッポン人-心に残る52人の肖像

ドナルド・リチー著・菊池淳子訳/四六判/2000円(税別) 単行本: 350 p/2003年/フィルムアート社

中国新聞朝刊 2003/08/24, 12ページ 観察巧み 交友つづる

 まるでチェーホフの短編小説のように、けっこうしんらつでありながら温かく、いるいる、そういう人っている、と、うなずきながら読んでしまう人物スケッチ集である。じつに面白く楽しい。
 著者は戦後すぐに日本に来て、進駐軍の新聞などに記事を書くことから映画批評家になったアメリカ人である。とくに日本映画の海外への紹介には大きな功績があった。一時期ニューヨーク近代美術館映画部の主任もしたが、戦後の大部分を日本で過ごしている。映画以外にも幅広い教養の持ち主なので交友関係も驚くほどひろい。
 この本はそうした日本での長年の生活にもとづく多様な日本人五十二人との交友録である。川端康成、黒澤明、三島由紀夫、大島渚、などなどの有名人も半数ぐらいを占めているが、あとは個人的な知り合いや、旅が好きな著者が旅行でほんの行きずりで出会ったような人も少なからず含まれている。
 その取り合わせがよくて、誇り高く日本文化を代表しているような人たちから、全く無邪気に自然体に日本の地方のお祭りの気分に著者を引き込んでゆく若者などまで、なかにはヤクザや娼婦(しょうふ)も含んで、じつに多様でひとりひとりみんな違う日本人の姿がナマナマしく浮かびあがる。
 共通しているのは、ちょっとヘンなところはあっても、あまり悪い人はいないこと。それぞれに違うそのちょっとヘンなところに対する好奇心と共感と愛着である。だからこれはよくあるきれいごとだけの交遊録ではなくてまるで小説のような人間観察の面白さと人生の哀歓に富んでいるのだ。
 たとえば三船敏郎。あの豪放な外見をつくりあげた人物が、じつはほとんど小心なまでに善良であり続けようと努力した人だったということの、ことこまかな観察とユーモアに富んだ記述に私は感動した。
 あるいはまた、坂東玉三郎に対する女形の性意識についてのあけすけな質問のおかしさと見事な答え。これは思わず笑ってしまう。著者自身の人柄の良さのおかげだ。<佐藤忠男・映画評論家>

沖縄タイムス 2003/08/23, 朝刊, 21ページ

同上


デイヴィット・リンチ 改訂増補版(映画作家が自身を語る)

クリス・ロドリー編/菊池淳子+廣木明子訳/392 p/2700円+税/2007年/フィルムアート社

沖縄タイムス 夕刊, 2ページ 1999/04/09 [新刊紹介]


 映画「ブルーベルベット」やテレビドラマ「ツイン・ピークス」などで知られる映画監督リンチへの初の本格的インタビュー集。自作に込めた思い、映画製作の裏話、絵画と映画の関係…。中でも、不安と恐怖におびえた幼少時代のイメージと記憶が、彼の映像表現にいかに深く影響を与えたかが興味深い。
 「僕は人生を極端なクロース・アップで見ていた」「僕が最も美しいと思うのは、最も暗いものだ」。異様なムードと感覚に満ちた独自の映像世界の源泉を見いだせる。巻末に作品一覧を併録。

佐賀新聞, 8ページ 1999/04/08

同上


クローネンバーグ・オン・クローネンバーグ

クリス ロドリー (編集)/Chris Rodley (原著)/菊池 淳子(翻訳)/単行本/ 278 p/2,213円+税/1993年/フィルムアート社

産経新聞 夕刊, 6ページ 1993/03/25 【書評】

「スキャナーズ」「ヴィデオドローム」「ザ・フライ」といった特異な近未来映像で知られる映画監督が自身を語る。
 トロント大学時代に友人と製作した処女作「トランスファー」(一九六六)から、敬愛する作家バロウズの作品を映像化した最新作「裸のランチ」(一九九一)までその製作過程と同時に語られる創作ビジョンには、「カルト作家」の位置に安住せず、「観客が追体験できるイリュージョンの創造」と「物事をむき出しのまま、裸の状態で見たいという映画哲学」を追求する、 真摯(ししん)な芸術家の姿がある。
 きどりのない丁寧な語り口は、広く映像ファンを魅了するものとなっている。

東京読売新聞 朝刊, 8ページ 1993/03/15 映画監督が自らを語る 製作記録など相次ぐ

初期作品から最新の「裸のランチ」までの作品を七年越しのインタビューによって掘り下げている。